些事記

放浪の身で僭越ですが、語らせてください。

Barber

Rが女の子と映画を見に行くというので(こいつは一昨日彼女と別れたといってホステルに帰ってきたばかりのくせに)、僕は髪を切りにバーバーに行った。何故だかわからないけど「バーバー」と言いたくなる。理容室とはまた違う、西洋の伊達男の美意識みたいなのはあそこに存在する。
 あるバーバーで一ヶ月半ほど前に一度髪を切ってもらったのだが、それが存外良かった。「ウクライナでイケてる髪型にしてください」って言ったら坊主一歩手前ぐらいまで短く切られたのだけど気に入った。その後すぐに体調を崩してあまり遊んでいなく、女の子の意見を聞けていないのが残念だ。
 日本では僕は所謂「おしゃれな美容室」に通っていたので、そことウクライナのバーバーとの間での髪を切ることに対する姿勢みたいなのに驚いた。バーバーは男の場所っていう感じがある。あのポマードの匂いとか、鏡の前の卓の上に丁寧に並べられた何種類ものバリカンとか、いかついヒップホップのBMGとかは美容室には無い。通っていた美容室では客の割合が男女比が3:7ぐらいだったので僕の感覚としては、「女性が行く場所にお邪魔する」みたいな感覚だったので余計にその部分が目につく。
 来る客の種類もそれぞれ変わっていて面白い。美容院には穏やかで、肩の力の抜けた「おしゃれ」な人たちがくるが。バーバーにはギラギラとした高級そうな男たちがきている印象だ。文化が変われば魅力的な男性像というのも変化していくものなのだが、散髪屋さんはそれをはっきり体感できる場所だなと思う。
 それにしても僕は「髪を切ってもらう場所」に行くのがあまり好きではない。値段が高いってのもあるし、毎回なんだかすごく緊張してしまう。それでも大概散髪してもらってスッキリすると機嫌がよくなることがほとんどなんだけれどね。